フィリピン人と働いてみたところ(7)スタッフが持ってくる紙切れの意味
ある日、フィリピン人スタッフが僕に紙切れ(A4の紙)を渡してきます。
これは・・・
退職届か何かしらの要望(不満)をまとめたものだ!
以前、試用期間中のスタッフが、試用期間の契約終了間際、退職届を持ってきたときは驚いた。
フィリピンでは半年の試用期間が設けられていて、その期間中は雇用側がかなり強い関係になる。その契約の後、いわゆる正規契約みたいなのを改めて結ぶのだけど、それ以降は被雇用者がかなり強くなる。なので、雇用側は雇用契約に細かく規定を定めて、それを盾にマネジメントしていくことになる。
なお、フィリピンでは試用期間で解雇されることがものすごく多いので、レギュラー雇用の契約が喉から手が出るほど欲しいというのが一般的です。つまり、試用期間中はものすごく猫をかぶって大人しくしている訳です・・・
そのフィリピン人スタッフ、一見、普通にやってたのに。
真面目で扱いやすくて、嫌いじゃなかったのに。
なぜ?
彼に理由を聞くと・・・
フィリピン人スタッフに馴染めないから…
だってさ・・・
仲良くしたれよ!
って言ったよね、僕。
「私達はやってますけど彼が・・・モゴモゴ・・・」と返ってくるんですけどね。
そう、ここは言い訳の国、フィリピン。
他責で成り立っている国、フィリピン。
言い訳ができないように、論理的に追い込んでいくと・・・
体調不良で休みます(;゚д゚)
あまりにこの手口が多い場合は、数をカウントしておいて、書面にして会社として不満があること(困ること)を伝え、了承・改善に同意した証拠としてサインさせる訳です。
改善が見られない場合は、雇用契約に従って段階的に指導する訳ですが、最終的には解雇することができます。
契約だからしょうがないよね、って感じで。
ちょっと前のある日、別のフィリピン人スタッフが紙切れを持ってきた。
紙切れによると・・・
給料を上げてくれ
とのこと。
なぜなら・・・
業界経験も長く、
会社に大きな貢献をしている!
とのこと。
そう・・・
彼らフィリピン人は
なぜか、自信に満ちている。
みなぎる自信を持っている。
実際のところ、どうなのか?
- 業界経験も長く
5年とかそれくらい。それを長いというのかどうかはあまり重要じゃない。
業界経験5年でここまでやれて欲しいよねって基準を超えてるかどうかが重要なわけです。
つまり、彼は超えてない訳です、僕らからすると。
- 会社に大きな貢献をしている
日焼けが痛くてTシャツが着られないから休むといって2日間連続で休むやつが大きな貢献ができているのだろうか!?
・・・多くを語る必要はありませんね。
彼は良い奴ですし、貢献もまぁそれなりです。
期待を超えてくれたことは一度もありませんが、フィリピンに来て人に期待することを手放した僕の評価で及第点という感じでしょうか。
つまり、貢献と言ってもそれはジョブディスクリプションの範囲内であり、なんだったらその範囲内で考えてもいくつか不満があるよ、と。
まぁ、いい機会だな、と思い、改めて彼の評価を書面で作成し、遅刻についての改善文書も作り、面談の準備を進める。(覚悟しとけよ…)
ちなみにフィリピン人をマネジメントする立場にある場合、面談は定期的にやると良いかもしれません。彼らが抱えている不満はたくさんありますから。ただ、権利ばっかり主張するフィリピン人スタッフにガッカリするのでやりたくないんですけどね・・・本音は。
さて、面談です。
日本語のまどろっこしさは不要です。
英語なんで、結論から先に話します。
例えば、
We can't accept your request.
みたいな。
Because...
って感じで。
もちろん、何度も慎重に考えて、議論を重ねたことや、君の希望は理解できるよ、というのは伝えて。この辺はマネジメントのテクニックみたいな感じでしょうか。
君の要求は直ぐに応えられるものではないし、それが得られるかどうかもあなた次第だから分からない(約束できない)。
なので、もし、今直ぐ、近い将来に必要というのであれば、辞めたほうが良いよ、応援するわ。
・・・と伝える。
すると・・・
あ、いや、これはちょっと言ってみただけっていうか・・・モゴモゴ・・・
来年、プロポーズしたいな、って思ってて、それで・・・モゴモゴ・・・
と・・・
ちょっと言ってみただけ
というのはフィリピン人あるあるです。
なので真に受けてはいけない。
採用時の希望給与もちょっと言ってみただけ要素が強いので、交渉でかなり下がります。
プロポーズしたい
・・・
・・・
・・・
うん、頑張れ。
知らんがな!
と突っ込みたくなる理由がすんごい多い。
そして、ここから、雇用側のターンです。
評価や給与に不満があるってんなら、
こっちもあなたに不満があると、と。
ダーッと理屈で説明して、全てを書面で明確に。
いわゆる権利と義務のバランスですね。
度重なる改善要求に対して満足な改善がなされていないことや、スキル面でも十分じゃないことなど、現在地を分かってもらうために伝える。
給与アップを嘆願したのに、遅刻は気をつけますの書類にサインさせられるという・・・
彼にとってはまさにヤブから蛇状態。
これが改善できたら給与アップですか?
みたいに聞いてきたので・・・
この図太さがフィリピン人のすごいところでしょ(汗)
いやいや、これはジョブディスクリプション内で本来やるべきことで、社会人として当たり前のことや。
つまり、給与アップ以前に、そもそも会社として、あなたに不満があるのです。
本来、今の給与であって、これはやってないといけないことです。
・・・と伝える。
そんな彼は今もここに居ます。
プロポーズ、
成功するといいな。